宮崎県都城市の場合

市民サービスの向上を目標に、行政手続きのオンライン化を推進

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宮崎県都城市は、高い普及率を誇るマイナンバーカードを活かして、行政手続きのオンライン申請に積極的に取り組んでいる。同市総合政策部デジタル統括課の佐藤泰格氏に、その狙いと成果などを聞く。

都城市庁舎入口
都城市庁舎入口

この記事の3つのポイント

  • マイナンバーカード普及率62%、行政手続きのオンライン申請を推進
  • オンライン化することが目的ではなく、市民サービスの向上が目的
  • 広報活動をきめ細かな情報発信に見直して、オンライン化を促進

マイナンバーカードをインフラに

宮崎県都城市のマイナンバーカードの普及率は、現在約62%に達している。全国平均を大きく上回る高い普及率について、都城市総合政策部デジタル統括課の佐藤泰格氏は「マイナンバーカードのメリットは、何といってもオンライン上で本人確認ができること。オンラインでの行政手続きにそのメリットが発揮されるので、まずはマイナンバーカードの普及に積極的に取り組んでいます」と説明。マイナンバーカードの普及がさらに進み、ひとつのインフラとして機能するようになれば、行政手続きのオンライン申請も、より理解と活用が進むと都城市では考えている。

また都城市では、行政手続きのオンライン化にあたって、マイナポータルを最大限活用することを柱に掲げている。「転入・転出が当たり前の時代に、自治体によってオンラインシステムに違いがあるのは不便。共有のプラットフォームであるマイナポータルを活用することで、より利便性が向上します」と佐藤氏は話し、自治体ごとにシステムを構築するのは効率的ではないと指摘する。

都城市市街地を背景に
都城市市街地を背景に

オンライン申請は市民の声から

行政手続きのオンライン化に積極的な理由を、他の自治体からよく聞かれるという佐藤氏は、「マイナンバーカードの取得もオンライン化も、それ自体が目的ではなく、市民サービスの向上につながるからです」と話す。子育て世代の若い市民から、児童手当の現況届けの手続きを、窓口に出向かなくてもできるようにしてほしいといった声が寄せられたこともあり、オンライン申請の導入に乗り出した。現在では、保育施設の申し込みや介護に関する手続き、就労証明書など、約30種類の手続きがオンライン化され、今後も利用頻度の高い手続きから徐々に導入される予定だ。紙での申請では必要なデータ起こしの手間がないので、市役所の作業の効率化にもつながり、窓口が本来注力すべき相談への対応などに、より時間を割くことができるようになった。

オンライン申請は、コロナ禍で対面をできるだけ避けたいという市民と行政双方のニーズにも応えている。2020年5月1日から実施された「特別定額給付金」の支給では、オンライン申請のスピードが市民に高く評価された。「オンライン申請による支給がうまくいかない自治体が少なくなかったようですが、私たちは初日の午後から振り込みを開始することができ、オンラインで申請されたものについては、おおむね1週間以内で支給することができました」と、佐藤氏は振り返っている。新型コロナワクチン接種証明書、いわゆるワクチンパスポートのオンライン申請も、都城市では8月23日からいち早くスタートさせた。

一方で、「誰一人取り残さない、人に優しいデジタル化」という国のスローガンもあり、情報弱者のフォローも必要だ。都城市では、高齢者向けのスマホ支援をはじめとしたデジタル活用支援などを行い、オンライン比率を高めていくという努力を続けている。さらに、高齢者でも使えるUI/UXの作成、わかりやすく丁寧な説明など、行政のやるべきことは尽きないというのが佐藤氏の意見だ。

都城市総合政策部デジタル統轄課 佐藤泰格氏
都城市総合政策部デジタル統括課 佐藤泰格氏

環境づくりと広報活動でマイナンバーカード普及へ

都城市ではこれまで、マイナンバーカードの普及に向けて、申請しやすい環境づくりと広報活動に力を入れてきた。前者では、マイナンバーカードの取得を希望する人の家に出向いて、申請を手伝う「マイナちゃんカー」(申請補助用自動車)の運用など、ユニークな施策を実施。後者では、国のマイナポイント事業においても、マイナポイントというフレーズを極力使わず、あえてPayPayなど市民に身近なキャッシュレス決済のポイントが受け取れると伝えて、使い勝手のよさをアピールしたり、夏休み前には子どもの取得を勧めたりするなど、いつ、誰に、何を伝えるかをきめ細かに決めて情報を発信している。

こうした経験を踏まえて、行政手続きのオンライン申請普及に関しても、広報の方法を見直している。「従来は申請方法の説明も、①郵送 ②来庁 ③オンラインの順でしたが、オンラインを一番先にしていきます。また、利用者の便利だったとの実感の声を積極的に伝えるようにしています」と佐藤氏。さらに、「オンライン申請の手軽さを、少しでも実感してもらうことが重要」と考え、コンビニエンスストアで手続きする場合の手数料を一律150円と、窓口での半額以下に設定。「これにより、コンビニエンスストアでの手続きは2倍近くになりました」と、手応えを感じている。

「国も自治体も民間も、行政手続きのオンライン化の促進という同じ方向を向いているわけですから、それぞれ連携することが市民サービス向上の点でも、コストの点でも欠かせません」と、展望を語る佐藤氏。ヤフーの行政手続きのオンライン申請サービスについて、「市民の皆さんは、さまざまな申請についてネットで検索した上でオンライン申請のページにたどり着くことが多いので、ヤフーのサービスとマイナポータルの連携は、市民とオンライン申請の橋渡しをすることになります」と話し、「オンライン申請の入り口となり、利用拡大につながります」と、大きな期待を寄せている。

都城市ポスター
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