政府が掲げる「異次元の少子化対策」で児童手当や給付金など、子育て世帯への支援はどのように変わるのか説明します。
- ※2025年3月17日時点の情報掲載
こども未来戦略方針
加速化プランの主な支援策

支援策の実施時期

2025年4月の改正ポイント
2025年4月から、新たな給付金制度の創設および育児休業法の改正が実施されます。
詳細は、厚生労働省「育児休業制度 特設サイト」や厚生労働省「育児休業等給付について」をご確認ください。
経済的支援
児童手当

支給対象
18歳(高校生)※まで拡大
現在、中学卒業まで支給されている児童手当を高校卒業まで延長します。
なお、所得制限は撤廃され、支給対象は全員に拡大されます。
※18歳に達する日以降の最初の3月31日まで
第3子加算、第1子が22歳の年度末まで支給
現行制度では、子どもとして数える期間が高校生までのため、第1子が高校を卒業すると第3子の加算が受けられなくなりますが、子どもとして数える期間を「22歳の年度末」まで延長します。
支給額(月額)
- 3歳未満:1万5000円
- 3歳~18歳:1万円
- 第3子以降(0歳〜18歳の全年齢):3万円
支給回数
隔月(偶数月)の年6回支給されます。
いつから?
2024年10月から制度が変更されるため、2024年12月の支給分から拡充されます。
※高校生(16歳~18歳)への児童手当拡充に伴い「扶養控除」は、所得に関係なく一律で控除額を縮小し、所得税の控除額は38万円から25万円に、住民税は33万円から12万円に引き下げる案を検討しています。
児童手当の詳細については、児童手当の説明をご確認ください。
また、ひとり親世帯などに支給する「児童扶養手当」も、2024年11月から第3子以降の支給額が引き上げられ、所得制限も緩和されました。
詳細は、児童扶養手当の説明をご確認ください。
出産費用

保険適用
出産費用の公的保険制度の適用が検討されています。通常、医療費の1~3割は患者の自己負担ですが、出産費用は「自己負担なし」とした上で「給付」を行うことも検討されています。
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対象者
正常分娩で出産される方 -
いつから?
2026年度を目途に検討中
全国の病院などの出産費用やサービス内容を一覧化した専用サイトが厚生労働省のホームページに開設されました。出産費用や個室の有無、立ち合い出産・無痛分娩ができるか、分娩件数などを、全国約2,000カ所の医療機関ごとにまとめ、妊産婦が医療機関を選ぶ際に比較できます。
その他の助成・給付金
妊娠・出産期から2歳までの支援を強化する方針です。
2023年4月から以下を開始しています。
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出産・子育て応援給付金:10万円※
(2023年4月以降に出産された方) - 出産育児一時金:50万円へ増額
- 低所得妊婦の初回産科受診料助成:上限1万円
大学などの高等教育費、奨学金

大学などの高等教育にかかる教育費の負担軽減策として、授業料の無償化や奨学金の所得制限緩和などが実施されます。
大学などの授業料無償化
3人以上の子どもがいる多子世帯への支援策として、子どもの大学授業料などを無償化(上限額あり)が実施されます。
3人子どもがいる場合で、第1子と第2子が大学に在籍している場合は2人とも対象です。ただし、第1子が卒業後に扶養から外れると、扶養する子どもが2人となり対象外になります。
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対象者
3人以上の子どもがいる多子世帯(所得制限なし) -
いつから?
2025年度から実施 -
授業料無償化の対象
大学や短期大学、高等専門学校などの授業料や入学金など
※現金支給ではなく各学校の授業料などを減額 -
上限額
大学の授業料免除の上限は、国公立が54万円、私立は70万円
大学の入学金の上限は、国公立が28万円、私立が26万円
対象となる学校は、一定の要件を満たすことが確認された大学、短期大学、高等専門学校(4・5年生)、 専門学校です。対象校のリストは、文部科学省「高等教育の修学支援新制度の対象機関リスト」をご確認ください。
授業料後払い制度
大学院在学中は授業料を支払わず、卒業後に所得に応じて返済する制度です。
所得に応じた返済が始まる年収基準は300万円程度です。子育て期に配慮し、例えば、子どもが2人いる場合は年収400万円程度までは納付は始まりません。
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対象者
修士課程の大学院生を対象に先行導入 -
いつから?
2024年度から開始
授業料等減免、給付型奨学金
授業料等の減免および給付型奨学金をセットで行う「高等教育の修学支援新制度」について、支給対象を拡大します。
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対象者
多子世帯や理工農系の場合、世帯年収600万円程度まで -
いつから?
2024年度から開始
貸与型奨学金
定額返還における月々の返還額を減らす制度要件などを柔軟化。減額返金制度の利用可能な年収上限を引き上げます。
また、所得連動方式を利用している場合は、所得計算において、子ども1人につき33万円の所得控除を上乗せします。
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対象者
卒業して貸与型奨学金を返済している方 -
年収上限
利用可能な年収上限を400万円以下に引き上げ
子ども2人世帯は500万円以下まで、子ども3人以上世帯は600万円以下まで -
いつから?
2024年度から開始
医療費

子ども医療費助成制度
自治体が子どもの医療費を助成する制度です。
不要な受診や医療費を抑制するため、小学生以上の児童の医療費助成をしている自治体に対して補助金の減額措置が行われていましたが、2024年度に撤廃されました。
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未就学児(小学校入学前)
公的保険と自治体補助により自己負担なし -
小学生以上~18歳未満まで
市区町村が独自に補助しており負担割合が異なる
住宅

住宅ローン控除(住宅ローン減税)
住宅ローン控除は、住宅ローンを利用して、マイホームを購入・増改築した場合、一定の条件を満たすと税金の控除が受けられる制度です。子育て世帯の場合は、借入限度額の上乗せ措置を2025年も実施します。
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対象者
19歳未満の子どもがいる世帯
夫婦のいずれかが40歳未満の世帯 -
対象となる住宅
新築などで環境性能の高い住宅(認定住宅など) -
借入限度額
2023年の上限額を維持(新築の長期優良住宅で5,000万円、ZEH水準省エネ住宅で4,500万円、省エネ基準適合住宅で4,000万円) -
いつの入居?
2025年入居分まで
詳細は、国土交通省「住宅ローン減税」をご確認ください。
フラット35の金利優遇
長期固定金利の住宅ローン(フラット35)について、子育て世帯などに配慮し、子どもの数に応じて金利を引き下げる方針です。
子育てしやすい住宅として、広さや安全面など良質な住宅取得を促します。
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対象者
18歳未満の子どもがいる世帯
夫婦のいずれかが40歳未満の世帯 -
いつから?
2024年2月から開始
詳細は、住宅金融支援機構「フラット35 子育てプラス」をご確認ください。
公営住宅の優先入居
公営住宅などの公的賃貸住宅を対象に、子育て世帯などが優先的に入居できる仕組みを推進。「公営住宅を活用した住まいの子育て支援実施要領」が2023年12月に策定。
また、空き家なども子育て世帯向けに活用を促します。
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いつから?
各自治体によって実施時期は異なる
その他
生命保険料控除
子育て世帯への支援策として、扶養する子どもがいる場合、生命保険料控除の控除額の上限を引き上げます。
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対象者
23 歳未満の扶養する子どもがいる方 -
控除額の上限
所得税の「一般生命保険料」の控除限度額を4万円から6万円に引き上げ -
いつから?
2026年の時限措置
子育てサービス
保育

こども誰でも通園制度
就労にかかわらず、時間単位で柔軟に利用できる通園制度です。月一定時間の利用可能枠の中で利用できます。
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対象者
生後6カ月~3歳未満の未就園児 -
いつから?
2026年度から全国で実施 -
利用枠
1人あたり月10時間
詳細は、こども家庭庁「こども誰でも通園制度について」をご確認ください。
幼児教育・保育の無償化
2019年10月から幼児教育・保育の無償化が開始しました。3歳~5歳の場合、幼稚園・保育所・認定こども園などの利用料が無償です。
認可外保育施設の利用料無償化
認可外保育施設の場合は、3歳~5歳で月額3.7万円まで、0歳~2歳で住民税非課税世帯の場合、月額4.2万円まで利用料が無償です。
2024年10月以降は、以下の通り、要件を満たす施設のみが無償化の対象です。
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利用料無償化の対象
認可外保育施設の届出がされていて、外国人児童が多い施設や夜間保育所など -
いつから?
2024年10月から2030年3月末まで
保育士の配置基準改善
幼児教育・保育の質向上のため、保育士の配置基準を見直す方針です。また、保育士等の処遇改善もあわせて検討するとしています。
1歳児 | 「6対1」から「5対1」へ改善 |
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4・5歳児 | 「30対1」から「25対1」へ改善 |
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いつから?
4・5歳児の配置基準の見直しは、2024年度から実施
1歳児の配置基準の見直しは、2025年度から実施
現行制度の詳細は、保育園・幼稚園などの制度をご確認ください。
学童保育
「小1の壁」となっている学童保育(放課後児童クラブ)の待機児童解消などに向けて、環境の整備が進められています。
- 受け入れを152万人に拡大(早期に達成できるよう取り組み、2024年には151.9万人に至った)
- 常勤職員の配置改善(2024年度から開始)
産後ケア
産後ケアは、育児への不安や心身に不調がある方だけでなく、「産後ケアを必要とする者」に改定し、希望者全員が補助を受けられます。
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対象者
産後、子どもが1歳になるまで誰でも -
料金補助
1回あたり2,500円を5回まで -
いつから?
2023年度から開始
住民税非課税世帯については、1回あたり5,000円で回数制限なしの補助が受けられます。この制度は継続します。
また、今後、産後ケア事業の拡充に向けて、各市区町村への補助額の上限を2024年度から撤廃しました。
共働き支援
育児休業給付金、時短勤務の給付金

育児休業給付金
出生後休業支援給付金(手取り10割)
14日以上の育児休業を取得した場合に、育児休業給付金とあわせて 「出生後休業支援給付金」を最大28日間支給します。
「育児休業給付金」+「出生後休業支援給付金」で、合計して給付率は80%(手取り10割相当)です。
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対象者
育休を取得している男女ともに -
いつから?
2025年4月から -
給付率
最大28日間は80%(手取り10割相当) -
申請方法
原則、育児休業給付金とあわせて同一の支給申請書で、勤め先を通じてハローワークに申請
制度の詳細は、厚生労働省「育児休業等給付について」や、育児休業給付金(育休手当)の説明をご確認ください。
時短勤務の給付金制度
育休明けに時短勤務をする場合、労働時間や日数などに制限なく、賃金の10%を給付する方針です。雇用保険に「育児時短就業給付金」を設け、時短勤務で収入が下がる子育て世帯を経済的に支援します。
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対象者
子どもが2歳未満 -
いつから?
2025年4月から -
支給額
育児時短就業中に支払われた賃金額の10%相当額 -
申請方法
原則、勤め先を通じてハローワークに申請
育児期の働き方支援
育児期に柔軟な働き方ができるよう支援の拡充が検討されています。また、制度を導入した中小企業に対して助成を強化する方針です。
育児期の働き方
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柔軟な働き方の実現
対象:子どもが3歳~小学校就業前
時短勤務、テレワーク、フレックスなど柔軟な働き方が選択できる制度。制度を導入した中小企業に対しては両立支援等助成金が支給されます。
(2025年10月から2つ以上の働き方の措置を講ずるよう企業へ義務化) -
テレワークの努力義務
対象:子どもが3歳になるまで
短時間勤務措置の義務付けに加えてテレワークの努力義務が追加
(2025年4月から実施) -
育休取得者や時短勤務者の周囲社員への応援手当
育休取得者や時短勤務者の業務を代替する周辺社員に手当を支給した中小企業に対して、育休者1人につき最大140万円、時短勤務者1人につき最大128万円を助成。
(2024年1月から開始)
育児期の休暇・残業
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子の看護休暇
対象:子どもが小学校3年生修了時まで
年5日の看護休暇の対象年齢を引き上げ、入園式・卒業式の参加や感染症での学級閉鎖時などでも活用できるよう拡充。
(2025年4月から実施) -
残業免除
対象:子どもが小学校入学前まで
残業免除の対象を拡大。
(2025年4月から実施) -
選択的週休3日制度
仕事と育児の両立にあたり心身の健康を守る目的で、制度普及に取り組む。
産後パパ育休、男性育休

出生時育児休業給付金
産後パパ育休(出生時育児休業)を14日以上取得した場合に、出生時育児休業給付金とあわせて 「出生後休業支援給付金」を最大28日間支給します。
「出生時育児休業給付金」+「出生後休業支援給付金」で、合計して給付率は80%(手取り10割相当)です。
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いつから?
2025年4月から実施
制度の詳細は、厚生労働省「育児休業等給付について」や、育児休業給付金(育休手当)の産後パパ育休の説明をご確認ください。
その他にも、以下が検討されています。
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男性の育休取得率の目標引き上げ
2025年:公務員85%(1週間以上の取得率)、民間50%
2030年:公務員85%(2週間以上の取得率)、民間85% - くるみん認定など「子育てサポート企業」として認定された中小企業に対し、育休取得状況に応じたインセンティブ強化
パート、自営業

週所要労働時間20時間未満
パート・アルバイト
育児と仕事の両立に向け、パート・アルバイトの方向けの支援策も検討されています。
106万円の壁(年収の壁)対策
手取り収入を減らさない取り組みをした企業に対し支援を行います。
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対象
従業員が51人以上で、従業員の手取り額の減少対策に取り組んだ企業 -
助成額
従業員1人あたり最大50万円 -
いつから?
2023年10月20日から申請開始(2025年度の年金制度改正まで)
130万円の壁(年収の壁)対策
収入が一時的にあがったことを事業主が証明することで、連続2回まで一時的に130万円を超えても扶養にとどまれるようにします。
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対象者
従業員50人以下の企業で働くパート・アルバイト -
いつから?
2023年10月20日以降の被扶養者認定・収入確認時に適用
年収の壁対策に関する関連サイト
雇用保険の適用
加入要件である週の労働時間を、「週20時間以上」から「週10時間以上」に緩和します。適用拡大により、パートや時短勤務の方の加入が見込まれ、失業給付や育児休業給付等が受給可能になります。
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対象者
週所定労働時間10時間以上20時間未満の方 -
いつから?
2028年10月から開始
現行制度の詳細は、雇用保険の基本手当(失業手当)の説明をご確認ください。
自営業・フリーランス
育児期間の国民年金保険料の免除措置を延長します。
対象者に男性も加え、免除期間は子どもが1歳になるまで延長します。
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対象者
育児期の国民年金の第1号被保険者(男女ともに)
※所得制限なし、休業の要件も設けない -
免除期間
子どもが1歳になるまで -
いつから?
2026年10月に実施
参考(外部サイト)