オンライン申請の充実が
行政サービスを向上させ
「住みやすいまち」を作る

オンライン申請の充実が 行政サービスを向上させ 「住みやすいまち」を作る

北海道 三笠市

ほっかいどう みかさし

2011年(平成23年)以来の移住定住施策、子育て支援策を通じて、道内の市で唯一、社会動態増を実現している北海道三笠市。同市は、子育て世代に向けた住みやすいまちづくりに取り組むなかで、申請手続きのオンライン化を進めている。同市総務福祉部デジタル推進課課長の藤井陽一氏と同課主事の前川充典氏に、申請手続きのオンライン化推進の動機や導入時のポイントなどについて聞いた。

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北海道で唯一、若者が増加している市による「行政のデジタル化」

行政サービスの利便性向上が、子育て世帯の流入を後押しする

かつて炭鉱町として栄え、最盛期には6万人超の人口を誇った北海道三笠市。しかし、相次ぐ炭鉱の閉山により人口は減少し、2012年には総人口1万人を下回った。急速な過疎化を受け、同市は移住定住施策や子育て支援策に注力する。若者向けの家賃助成、保育所の実質無償化、子どもの医療費助成などの各種施策を展開。移住者を募るTVCMを制作し、市のPRにも力を注いだ。その結果、2020年には転入者数と転出者数が逆転し、道内の市で唯一の年少人口率(15歳未満の人口比率)上昇を達成する。

「子育て世代などを惹きつける、魅力のあるまちを作るうえでは、行政のデジタル化が欠かせないと考えています」。そう語るのは、総務福祉部デジタル推進課課長の藤井陽一氏だ。助成金施策などを展開する一方で、三笠市はデジタル化による行政サービスの向上にも取り組んでいる。現在、すでに40のオンライン申請を提供しているほか、2023年3月からは窓口における申請書作成をデジタル化する「書かない窓口」を運用開始予定。行政サービスの利便性向上を図り、子育て世代などがさらに住みやすいまちづくりを進める構えだ。

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「住みやすいまち」には、オンライン申請が必要不可欠

  1. 01.住民のニーズに沿った、住みやすいまちづくりを推進できる

    「長年、勤めている私が言うのも気が引けるのですが、多くの市民の皆様にとって、役所を訪れるのは、とても億劫なことだと思うんです」(藤井氏)。リモートワークが普及し、オンラインコミュニケーションが一般化した昨今、「役所に行かずに申請や届け出を行いたい」という住民のニーズは、日に日に高まっていると藤井氏は話す。こうしたニーズへの細やかな対応が「住みやすいまち」を目指すうえでは求められる。また、多くの人に移住したいと思われるためにも、行政サービスの利便性向上は必要不可欠であり、オンライン申請の導入が効果的だ。

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  2. 02.共働き世帯などが行政サービスを利用しやすくなる

    従来型の対面による申請手続きでは、住民は平日の昼間帯に市役所を訪れる必要がある。これは行政サービスを利用するうえでの障壁と言える。特に、共働き世帯の場合、その壁はさらに高くなる。共働き世帯を含む子育て世代の流入を目指す三笠市にとって、時間や場所に制約されず、いつでも・どこでも申請手続きを行える体制の構築は急務だった。オンライン申請を導入することで、さまざまな事情から市役所を訪れにくい層にも行政サービスを届けることができる。

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  3. 03.職員の作業工数を削減し、重要業務に注力できる環境が作られる

    現在、三笠市では、窓口での申請手続き1件につき30分程度を要している。年間では、窓口対応に約550時間を費やしている計算だ。こうした膨大な業務負担は、職員の効率的な働き方を阻害するとともに、重要業務に割り振られるべきリソースを圧迫する。「行政のデジタル化を推進し、市民の皆様によりよい行政サービスをお届けするために、職員の負担を増やしてしまっては本末転倒です。オンライン申請は、行政サービスの向上を図れる一方で、職員の窓口対応の負担を軽減できる点もメリットだと言えます」(藤井氏)

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標準様式がオンライン申請の認知度を向上させる

小規模自治体こそマイナポータル(ぴったりサービス)を利用するべき理由とは

三笠市の40のオンライン申請は、すべてマイナポータル(ぴったりサービス)の標準様式で登録されている。総務福祉部デジタル推進課主事の前川充典氏は「ぴったりサービスの利点は、無料でオンライン申請を導入できることです」と話す。以前、同市はオンライン申請の導入を目指し、LGWAN-ASPサービスの利用を検討したことがあったが、予算制約の問題から断念している。前川氏は「財政面の課題から申請手続きのオンライン化に着手できなかった自治体にとって、ぴったりサービスは待望のシステムだと思います」と述べ、小規模自治体こそマイナポータル(ぴったりサービス)を利用し、オンライン申請を推進すべきだとした。

一方で、Yahoo!くらしとの連携も魅力だという。標準様式で登録したオンライン申請はYahoo!くらしからも申請手続きが可能になる。「申請手続きの窓口が増えるのは利便性向上につながりますし、何よりYahoo!くらしがオンライン申請の認知度向上に果たす役割は大きいです。実際に、ヤフーで『三笠市オンライン申請』と検索すると対応手続きの一覧が表示されますし、以前よりもオンライン申請の情報を得やすくなっていると思います」(前川氏)。

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オンライン申請には所管課の協力が欠かせない

標準様式のメリットを丁寧に説明し、理解を得るのがポイント

オンライン申請を推進するためのポイントとして、前川氏は「ぴったりサービスの標準様式をいかに効果的に活用するか」を挙げる。なかでも、自治体の独自様式と標準様式との齟齬には注意が必要だと指摘する。簡単な登録作業だけでオンライン申請を導入できる一方、標準様式の記載項目は自治体の独自様式とは異なるケースが多く、三笠市の場合もほとんどの手続きにおいて記載項目に齟齬があった。

「記載項目が変更されるため、標準様式を登録する際には所管課への説明が必要になりますが、所管課からは『記載項目を変更しても本当に大丈夫ですか?』という懸念の声が数多く聞かれました。所管課としては、長年、続けてきた仕事のやり方を変えてもよいのだろうかという戸惑いがあったのだと思います。しかし、標準様式の利用は国の方針ですし、不要な記載項目の削除は行政サービスの向上にもつながります。標準様式を登録する際には、そうした点をしっかり説明して、所管課の協力を得ながら取り組みを進めることが重要です」(前川氏)

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自治体情報システム標準化を見据え、デジタル化をさらに加速

今後、三笠市は令和7年度までの自治体情報システムの標準化・共通化を見据え、行政のデジタル化を推進していく。そのなかで、オンライン申請の利用をさらに促進し、より行政サービスが受けやすく、住みやすいまちづくりを目指す。藤井氏は「スマートフォンの利用に慣れている若い層の方々にはオンライン申請をご利用いただき、オンライン申請が不安だという高齢層の方には『書かない窓口』をご利用いただければ、よりデジタル化の効果を波及できるのではないかと考えています」と展望を語る。

住民の一人ひとりがデジタル化の恩恵を享受しながら、いきいきと暮らせる地域社会。国が掲げるビジョンの実現に向け、三笠市はオンライン申請のメリットを存分に活用している。

ライター:島袋 龍太

フォトグラファー:三浦 伸一

取材日:2022年7月28日

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