社内の手続き
退職届の提出
退職手続きについては、就業規則や雇用契約書の中に、退職する時のルールが記載されていますので、いつまでにどのような社内手続きが必要なのかを確認しておきます。
就業規則や雇用契約書には退職手続きの詳細までは記載されていないことがありますので、具体的な提出書類等が不明な場合は、人事総務の担当者へ確認します。
有給休暇の消化
退職する前に年次有給休暇の残日数がある場合は、退職日までの間に年次有給休暇を取得することが可能です。
年次有給休暇は退職日後は消滅しますので、計画的に取得しましょう。退職日の間近は業務処理や引継ぎ等で年次有給休暇をしづらいこともあり得ます。後任者との引継ぎを円滑に行えるようコミュニケーションを図り、年次有給休暇を取得しつつ、引継ぎを行えるようにすることも大切です。
退職時に受け取る書類
退職時に会社から受け取る書類は、以下のとおりです。
- 雇用保険被保険者証
- 年金手帳
- 源泉徴収票
- 離職票※
※離職期間がある場合は必ず受け取るようにしましょう。
公的な手続き
退職後に必要な公的な手続きとは?
退職後に必要な公的手続きは健康保険の手続き、年金の手続き、雇用保険の手続き、税金の手続きです。
健康保険の手続き
健康保険への加入は、4つの方法があります。転職先の健康保険に加入する、国民健康保険に加入する、前の勤務先の健康保険を任意継続する、親族の扶養に入るという方法です。
詳しくは健康保険の手続きの説明をご確認ください。
年金の手続き
国民年金加入の手続き、厚生年金加入の手続があります。
詳しくは国民年金の手続きの説明をご確認ください。
雇用保険(失業手当)の手続き
再就職する場合は、雇用保険の手続きを行っていると基本手当(失業手当)を受給しながら求職活動を行うことができます。
詳しくは雇用保険(失業手当)の手続きの説明をご確認ください。
税金の手続き
退職金を受け取っている場合、勤務先で所定の手続をしていれば、源泉徴収で課税関係は終了するため確定申告をする必要はありません。勤務先で所定の手続きを行うことが重要です。
詳しくは、退職金の手続きをご確認ください。
その他、退職後の住民税や所得税については、住民税・所得税の手続きの説明をご確認ください。
退職される方
健康保険の手続き
退職後の健康保険
健康保険に加入する場合は、以下4つの方法があります。
退職時に転職先が決まっている場合は、転職先の会社で健康保険加入手続きを行います。
入社時に健康保険加入に必要な個人情報が収集されている場合は、会社の方で健康保険加入の手続きを行います。
会社からの求めに従って必要な情報を提供します。提出の方法(メール、書面等)や期限は担当者の方から提示がありますので、これにより行います。
他の医療保険制度(被用者保険、後期高齢者医療制度)に加入していない全ての住民の方を対象とした医療保険制度です。都道府県及び市町村(特別区を含む)が保険者となる市町村国保と、業種ごとに組織される国民健康保険組合から構成されています。
国民健康保険に加入する場合必要な書類は以下のとおりです。
- 印鑑
-
口座番号がわかるもの
(保険料を口座振替にする場合) -
マイナンバーが確認できるもの
(加入する人の分) - 身分証明書
- 健康保険の資格喪失証明書、退職証明書、離職票のいずれか
国民健康保険の加入手続きは、居住の市区町村の担当窓口で行ないます。一部、郵送で受けている自治体もあります。
原則として退職日の翌日から14日以内に手続きを行うことが必要です。
それまで加入していた協会けんぽや健康保険組合にそのまま加入するというものです。
「任意継続被保険者資格取得申出書」を記入のうえ、居住している住所地を管轄する協会けんぽ支部に退職日の翌日から20日以内に提出します。会社の健康保険組合がある場合は、担当へ提出します。
家族の健康保険の被扶養者になるというものです。
扶養者の会社の担当窓口へ「被保険者の戸籍謄(抄)本」などの被保険者との続柄が確認できる書類や、「退職証明書」「年金額の改定通知書の写し」などの収入要件を確認できる書類の提出が必要です。
被保険者に被扶養者の追加があった場合は、事実発生から5日以内に会社の担当者へ必要な書類を提出します。
健康保険証を紛失した場合の手続き
健康保険証を紛失していたときは、会社の方で「健康保険被保険者証回収不能届」を「健康保険・厚生年金被保険者資格喪失届」に添付して手続きを行いますので、必要に応じて会社へ紛失理由をお伝えください。
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20歳以上60歳未満で厚生年金に加入していない方
国民年金の手続き
国民年金とは?
国民年金は、日本在住の20歳以上60歳未満の全ての人が加入対象です。老齢時の所得保障だけでなく、重い障害や死亡など、万が一のときに、生活の安定が損なわれないよう、皆であらかじめ保険料を出し合い、お互いの生活を支えあう仕組みです。
関連する説明ページ
国民年金の切り替え手続き
退職後しばらく離職する場合や所定の要件を満たさず厚生年金の被保険者資格に該当しない場合は、自分で国民年金の切り替え手続きをする必要があります。
退職後、厚生年金に加入している事業所で勤務する場合で、常時雇用かつ70歳未満の方は、会社の方で厚生年金の手続きを行います。
必要なもの |
・年金手帳または基礎年金番号通知書 ・退職日が確認できる書類 (会社が発行する「退職証明書」「健康保険資格喪失証明書」など) ・身分証明書 (運転免許証、パスポートなど) ・印鑑 |
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手続きする場所 | 住民登録をしているところの市区町村役場の国民年金担当窓口 |
手続き期限 | 退職後14日以内 |
国民年金保険料の免除制度
保険料を納められないときのために、免除制度があります。さかのぼって免除等を申請できるのは、保険料の納付期限から2年を経過していない期間(申請時点から2年1カ月前までの期間)です。
詳細は、国民年金保険料の免除制度と納付猶予制度のページをご確認ください。
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離職前に雇用保険に加入し求職活動をしている方
雇用保険(失業手当)の手続き
失業手当とは?
失業手当とは、会社を退職する時、一定の要件を満たした場合に雇用保険から受け取れる手当のことで、基本手当といいます。
関連する説明ページ
雇用保険(失業手当)の手続き
離職理由によって、基本手当を受給する時期に違いがありますので、会社が作成した離職証明書の離職理由を確認することが大切です。
必要なもの |
・雇用保険被保険者離職票【1】 ・雇用保険被保険者離職票【2】 ・雇用保険被保険者証 ・個人番号確認書類 |
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手続きする場所 | 自分の現住所を管轄するハローワーク |
受給条件 |
・失業状態であること ・退職日以前の2年間に雇用保険加入期間が通算12カ月以上あること ・ハローワークに求職の申し込みをしていること |
受給期間 | 原則として離職日の翌日から1年間。短期雇用特例被保険者は、離職日の翌日から6カ月間。この期間内の失業状態にある日(受給手続き後の日に限る)について、所定給付日数を限度として支給を受けることができます。 |
受給額の計算式は、(離職前6カ月の給与の総支給額の合計÷180)×給付率です。
なお、給付率は、離職時の年齢、賃金により、45%~80%になります。給付額には上限・下限があります。
再就職手当
雇用保険受給資格者が基本手当の受給資格の決定を受けた後に早期に安定した職業に就く、または事業を開始した場合に支給されます。
必要なもの | 再就職手当支給申請書に受給資格者証を添えて提出 |
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提出期限 |
就職日の翌日から1カ月以内 (事業を開始した場合の提出期限はハローワークに確認) |
手続きする場所 | 自分の現住所を管轄するハローワーク |
支給額 |
再就職手当の額は、就職日の前日における支給残日数に応じて、以下のとおりの支給額となります。 ・支給残日数が3分の2以上 基本手当日額×支給残日数×70% ・支給残日数が3分の1以上 基本手当日額×支給残日数×60% ※1円未満は切り捨てとなります。 ※基本手当日額には上限額があります。 |
再就職手当の受給条件は以下のとおりです。
- 就職日の前日までの失業の認定を受け、支給残日数(受給期間満了日までに受給できる日数)が、所定給付日数の3分の1以上である
- 1年を超える継続的な雇用が、 雇入れ当初から確実と認められること
- 離職前の事業主による再雇用でない
- 待期が経過した後に就職したこと
- 給付制限を受けた場合は、待期満了後1カ月については、ハローワークまたは職業紹介事業者の紹介により職業についたこと
- 就職日前3年以内の就職について再就職手当または常用就職支度手当の支給を受けていないこと
- 受給資格決定日前に採用が内定していた事業主に雇用されたものでないこと
- 原則として雇用保険の被保険者である
- 支給申請書を提出した後、ハローワークが再就職手当の支給に関する調査を行う際に、再就職先を離職していない
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退職金の支給を受ける方
退職金の手続き
退職手当等の支給を受ける人は、氏名や勤続年数などを退職所得の受給に関する申告書に記載し、退職手当等の支払者に提出することが必要です。
退職所得の受給に関する申告
(退職所得申告)
必要なもの | その年中に他の退職手当等の支給を受けている場合は、その退職手当に係る「退職所得の源泉徴収票」1部が必要です。 |
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提出先 | 退職手当等の支払者(会社)に提出 |
受け取り方、計算方法 | 退職金の受け取り方や計算方法等は、退職金規程に記載されています。 受け取り方の詳細が退職金規程に記載されていない場合は人事総務担当等に確認する必要があります。 |
注意点
国内で退職手当等の支払を受ける居住者は、この申告を行わなければなりません。この申告を行わない場合は、その退職手当等の金額につき20.42%の税率による源泉徴収が行われます。
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退職される方
住民税・所得税の手続き
退職後の住民税の支払い
住民税は、1年間の税額を毎年6月~翌年5月までの12回に分けて給料から天引きされます。会社を退職される場合は、以下の3つの方法で住民税を納めます。
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特別徴収
退職後すぐに転職先に勤める場合に、引き続き給料から天引きで納める方法です。 -
一括徴収(退職時期1~5月)
退職時の最後の給料から、残りの住民税を差し引く方法です。 -
普通徴収(退職時期6~12月)
後日、お住まいの市町村から通知書が送付され、納付書で納める方法です。
退職時期が6月~12月の場合は、原則、普通徴収ですが、退職者の希望により一括徴収で納めることも可能です。
確定申告と年末調整
会社から給与の支払いを受けている場合、通常所得税は給料から源泉徴収されます。しかし、源泉徴収は概算で計算されるため、過不足が生じます。給与所得者は年末調整によって所得税の納税が完了しますので、原則として確定申告の必要はありませんが、年の途中で退職した場合、所得税が納め過ぎになる場合があります。中途退職した同じ年に再就職しない場合には、確定申告をすることで還付されます。
関連リンク
傷病手当金支給条件を満たしている方
退職後の傷病手当金
退職日まで引き続き1年以上被保険者であった従業員が、退職日に傷病手当金を受給しているか、または受給できる状態(傷病手当金の支給要件を満たしている状態)であれば、退職後も引き続き傷病手当金を受給することができます。
支給される期間 |
傷病手当金は、病気やけがで休んだ期間のうち、最初の3日(待機)を除き4日目から支給されます。 支給期間は、令和4年1月1日より、支給を開始した日から通算して1年6カ月に変わりました。 ただし、支給を開始した日が令和2年7月1日以前の場合は、いままでどおり支給を開始した日から最長1年6カ月までの期間になります。 |
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次の2点を満たしている場合に退職後も引き続き残りの期間について傷病手当金を受けることができます。
- 被保険者の資格喪失をした日の前日(退職日)までに継続して1年以上の被保険者期間 (健康保険任意継続の被保険者期間を除く)があること
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資格喪失時に傷病手当金を受けているか、または受ける条件を満たしていること
(退職日に出勤したときは、継続給付を受ける条件を満たさないために資格喪失後(退職日の翌日)以降の傷病手当金は受給できません)
注意点
退職後の傷病手当金は、いったん仕事に復帰できる状態になると、その後は「労務不能(仕事に就くことができない状態)」になっても受給できません。
傷病手当金が調整される場合
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障害厚生年金または障害手当金と傷病手当金の調整
傷病手当金と同じ病気(ケガ)により、障害厚生年金または障害手当金が支給される場合は、傷病手当金の支給金額が調整されます。 -
老齢年金と傷病手当金の調整
退職後に老齢年金が支給されている場合には、傷病手当金の支給金額が調整されます。
傷病手当金の支給期間通算化
令和4年1月1日から健康保険の傷病手当金の支給期間が通算化されました。
- 同一のケガや病気に関する傷病手当金の支給期間が、支給開始日から通算して1年6カ月に達する日まで対象となりました。
- 支給期間中に途中で就労するなど、傷病手当金が支給されない期間がある場合には、支給開始日から起算して1年6カ月を超えても、繰り越して支給可能になりました。
関連リンク
転職後の手続き
転職先への提出物
- 雇用保険被保険者証(会社へ預ける場合)
- 年金手帳(会社へ預ける場合)
- 源泉徴収票
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健康保険扶養者異動届
(扶養家族がいる場合) - 扶養控除等申告書
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その他(必要に応じて)
新しい給与振込先の登録書類
従事する業務で資格が必要な場合は、資格証の写し 等
転職先での保険証の発行
新しい保険証が発行されるまで、1週間から2週間程度かかります。
健康保険証の代わりに、健康保険被保険者資格証明書というものを提出することで、保険証と同じ効力となり、自己負担分のみでの診察を受けることが可能です。健康保険被保険者資格証明書の発行は、会社の所在地を管轄する年金事務所の窓口に、健康保険被保険者資格証明書交付申請書と本人確認書類を持っていけば、即日発行してもらうことができます。
iDeCoの手続き
就職(転職)先での企業型確定拠出年金の加入有無、就職(転職)先に、確定給付企業年金がある場合等、状況により手続き書類が変わります。
それぞれの手続きについては国民年金基金連合会「iDeCo公式サイト」をご覧ください。
関連リンク
監修
アヴァンテ社会保険労務士事務所
社会保険労務士 小菅 将樹
※「住民税・所得税の手続き」部分を除く